ソーシャルメディアで知られるエンゲージメントをマーケティングにどう活かす?
ファンはあくまでスターの方を向いているがエンゲージメントは…
さて、エンゲージメントについて、ITの面で考えていきましょう。前回見たように、エンゲージメントとは非常にアクティブで相互に影響を与え合うような関係でした。
つまり、「ファン」という言葉や「ロイヤルティ」といった言葉に近いのだけれどももっと行動的なものと感じられます。ファンだって現実社会では空港に押しかけたり出待ちをしたりしますが。Webだと例えばキャンペーンのメールをもらってサイトに行ってゲームしてプレゼントに応募して、という形かもしれませんね。
実際に空港に押しかけたファンだって、1対多の「多」の側に立って歓声を送ったり、写メを撮ったりしているだけであって、自分が中心にいて、対象のスターさんと1対1の感覚を持っているわけではありません。
図にするとあくまでこういう関係です。動いているのはスターであって、ファンはそれを取り巻いて一緒に動いていく。ファンはそのスターとの関係で自分の方向性を持っているわけではないのです。あるのはスターに対する熱さの違い、アプローチの違いであって、みんなが中心を向いている構図に変わりはありません。
エンゲージメントというのはもっとみんな勝手に動いています。自分に中心性があって、目指す方向性がある。近い言葉を探すと「自己実現」ということになるでしょう。
愛社精神を持って自分をむなしくして働く、というのが一種の「ロイヤルティ」だとすれば、エンゲージメントは自分の方向性のおかげで会社が良くなったり、自分も自分の目標を達成できたりする。成長を実感できるのです。
図にするとこうしたベクトルのモデルがしっくり来るように思います。
次回はこのベクトルと角度について考えることからエンゲージメントの本質を明らかにしていきたいと思います。