企業Webが成果を出すということの本質
企業にとってホームページの「成果」とは?
昔、マンション1棟の1/3をWebから売ったことがあります。これなどは分かりやすい大きな成果と言えるでしょう。このときは偶然ではなく狙って作ったので、その方法なども追って公開していくことにしましょう。
それより先に、もう少し成果を考えておきましょう。
というのは、いまだに多くの企業Web担当者さんが「うちはECサイトじゃないのでホームページにゴールなんてありません」とおっしゃるからです。弊社HARMONYでやっているアクセス解析サービスで「ゴール分析」というのがあり、「ゴールは何にしましょうか」とヒアリングしたときの答えです。
それではWeb担当者は何を目指して仕事しているのか、ということになります。成果を出してそれを会社に報告してこそWeb担当者は評価され、給料も上がるはずです。これは何とかしないといけません。
Webには成果と呼べるものがいくつもあります。
・知名度が上がった
・会員登録が増えた
・商品が売れた
・資料請求が多くなった
・来店者が多くなった
・個人投資家が増えた
などなど、細かく数え出したらきりがありません。大きく分類すると、
(1)情報が見られるタイプの成果
(2)コンバージョン、つまり個人情報を送信するタイプの成果
(3)店舗など、外で起こるアクションを伴う成果
といったところでしょうか。実際の測定については平均ページ数や滞在時間、コンバージョン数や率などを指標として見ていくことになるのですが、そうしたKGIやKPIについては後に回すとして、重要なのはすべてに共通する「成果の源泉」です。
これに気づいておかないと、結果論としての数字を見ることはできても、増やすことができない、あるいは狙ってWebサイトを運営することはできません。
その源泉はどんな種類の成果があっても共通して言えること。それは、
「狙った訪問者を集めて、狙った行動をとらせること」
です。アクセス解析ツールGoogle Analyticsに「アドバンスセグメント」という素晴らしい機能があり、訪問者をその属性で絞り込んで分析できるのですが、「狙った訪問者」というのが「セグメント」ということになります。
ところが多くのWebで「狙って」人を集めていないものだから、誰もセグメント分析をしていません。これは元に狙いがないので仕方がないですね。
どんな人に来てもらわないといけないか、決めて狙っていかないと成果など出るはずがありません。100万人来ていようが、1000万人であろうが同じことです。Webはマーケティング、マーケティングは市場を知り、育て、働きかけることです。市場とは何か? それは「顧客となるべき人」です。ここを見定めていないのに成果もないし、KPIなど定めようがありません。
例えば「腰痛に効くベッド」があったとしましょう。誰に来てもらわなければなりませんか? そう、腰痛に悩んでいる人です。腰痛の心配が全くない人は「腰痛には効果的だが高いベッド」には興味を持ちません。そんな人を何人集めてもこのベッドは評価されません。
例えばホテル向けに食材を卸している専門商社さん。ホテルマン以外の人が来ても仕方がないですね。それなのに「レシピ集」を普通に作ってしまうので、主婦ばかり集まってくる。これでは絶対に商売になりませんね。この状態で「成果指標としてユニークユーザー数を」と言っても何の意味もありません。
この項は「成果が出るWebの作り方」というものですが、このターゲット設定の中に、成果の種類もWebの作り方もすべて入っていると言っても過言ではありません。なぜならWebはマーケティングだからです。ターゲットをあいまいにしたマーケティングなどあり得ません。
次回は、ターゲットの整理方法を少し具体的・実践的に考えていきましょう。